可動住居で設営簡単「ゲル」


ゲルは遊牧に最適な住居である。いくつかのゲルが集まると「アイル」という集落になる。アイルは主に血縁関係者で組織されている。家畜の成育のために、季節ごとに最適な営地(ノタク)を選んで移動。夏は風通しがよく、水の豊富な川の近くで何よりも豊富な草のある所。冬は水代わりになる雪を手に入れるために、ある程度の積雪があり、風を避けることのできる山間部にゲルを設営する。

ゲルの組み立て方はいたって簡単。柳の木でドーム状に骨組みを作り、外側を羊の毛で作ったフェルトで覆って、革ひもで縛る。組み立て時間は、3〜4人で1、2時間で完成。解体ならもっと簡単だ。広さは平均10〜15畳で、入口はどのゲルも南を向いている。中央には鉄製のストーブ、主な燃料は乾燥している羊の糞である。羊の糞は燃料以外に防寒にも利用されており、カーペットの下に敷き詰められる。電気のない草原では夜はロウソクを灯して生活をしているが、屋根の中央に明かりの天窓があり、きっと満天の星が見えるはずだ。入口より一番奥正面が主人の場所、左側が客人、右側が家人となっている。ちなみにゲル一つの値段は、日本円で30〜50万程。

食事は、夏は白い食べ物すなわち「乳製品」、冬は赤い食べ物「羊肉」を食べている。羊はモンゴル人の生活に欠かせなく、全家畜頭数の過半数以上を占めている。もちろん食用だけでなく、フェルトや袋など余すことなく使われる。モンゴルの食生活は、朝昼ともにステイ・ツァイと呼ばれる「乳茶」で済ませ、夕食に肉うどんというのが基本的パターン。また、「アイラグ」と呼ばれる糖分の高い乳から作る醸造酒も好んで飲む。
「アイラグの作り方」1、馬乳やラクダ乳を搾乳 2、布でこす 3、鍋に乳をそそぎ弱火で煮て、乳脂肪分を取り除く 3、残った乳ボルソン・スーから本格的にスタート 4、樽や袋に移しひたすら、撹拌作業 5、1週間ほどで出来上がり アイラグの状態になったものをさらに蒸留させ、アルコール度を高めたものが「アルヒ」である。
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