可動住居で設営簡単「ゲル」
ゲルは遊牧に最適な住居である。いくつかのゲルが集まると「アイル」という集落になる。アイルは主に血縁関係者で組織されている。家畜の成育のために、季節ごとに最適な営地(ノタク)を選んで移動。夏は風通しがよく、水の豊富な川の近くで何よりも豊富な草のある所。冬は水代わりになる雪を手に入れるために、ある程度の積雪があり、風を避けることのできる山間部にゲルを設営する。
ゲルの組み立て方はいたって簡単。柳の木でドーム状に骨組みを作り、外側を羊の毛で作ったフェルトで覆って、革ひもで縛る。組み立て時間は、3〜4人で1、2時間で完成。解体ならもっと簡単だ。広さは平均10〜15畳で、入口はどのゲルも南を向いている。中央には鉄製のストーブ、主な燃料は乾燥している羊の糞である。羊の糞は燃料以外に防寒にも利用されており、カーペットの下に敷き詰められる。電気のない草原では夜はロウソクを灯して生活をしているが、屋根の中央に明かりの天窓があり、きっと満天の星が見えるはずだ。入口より一番奥正面が主人の場所、左側が客人、右側が家人となっている。ちなみにゲル一つの値段は、日本円で30〜50万程。 |