●世界中の「災害後住宅」を研究●


牧 紀男
Maki Norio
(京都大学助手)

 1990年の雲仙普賢岳の噴火災害、1993年の北海道南西沖地震、そして1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災と近年、大規模な住宅被害を伴う自然災害が相次いで発生している。フィリピン、インドネシアといった東南アジア島嶼部も日本と同様に自然災害の多い地域である。東南アジア地域に対しては日本の経済援助ばかりがクローズアップされるが、災害後の住宅復興手法に関しては日本が学ぶべき点も多くある。各国の研究者との共同研究により、日本・インドネシア・フィリピンにおける自然災害後の住宅復興のあり方に関する調査・研究を行っている。
1.インドネシアの災害後の住宅
 1976年に発生したバリ地震後、伝統的な住宅様式・集落構 成原理を活かした住宅復興プログラムが施行され、現在もその復興住宅に住み続けている人がいる。一方、1993年に発生したフ ローレス地震では被害を受けた村の再定住事業が行われたが、現在、再定住地に住む人はほとんどいない。
2.フィリピンの災害後の住宅
 1991年に発生したピナツボ火山の噴火災害により1993 年までに200万人以上の人々が被GA害を受け、現在も雨期になると泥流の被害にさらされている。フィリピン政府・NGOは災害 により住宅を失った人の為の再定住事業を行っている。また、アップ・ランダーと呼ばれるピナツボ山麓で焼き畑と狩猟採集によ り生活を送っていたアエタ族の問題も深刻である。
3.日本の災害後の住宅事情
 奥尻島では義援金から1000万円近い住宅復興援助が行われ、 住宅復興が順調に進んでいる。雲仙では、既に応急仮設住宅は全て撤去され住宅を失った被災者は災害公営住宅・自力再建した住 宅に移り住んでいる。阪神・淡路大震災では5万戸近い応急仮設住宅が建設され、来年中に使用期限が切れ、応急仮設住宅の撤去 が大きな問題となることが予想される。
【経歴】
1968 京都市生まれ
1991 京都大学工学部建築系学科卒業
1993 京都大学大学院工学研究科修士課程建築学第2専攻修了
1996 京都大学大学院工学研究科環境地球工学専攻助手

【研究】
「災害後の住宅供給」
「自然災害後の応急居住環境整備システムに関する研究」など  

※詳しくは maki@archi.kyoto-u.ac.jp