万之丞語録2

『唐人相撲』は狂言のなかで唯一大きな仕掛けをもつスペクタクルで、狂言師であれば誰しも上演したい演目なんだ。海外で狂言を上演して、高い評価を受けてはいたけれど、「狂言は大演劇になりうるのか」と常に考えていた僕は、次第に海外の人々にある種のショックを与え、同時に狂言という演劇の本質を表現できる作品を上演すべきだと思うようになったんだ。『唐人相撲』の上演に漕ぎ着けるまでは、通常の狂言を遥かにしのぐ多角的なエネルギーが必要だったけど、それでも海外で試したいという思いが『唐人相撲』に取り組んだ大きな動機でした。





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