石燕曰く |
山海経に曰、「鍾山の神を燭陰といふ。身のたけ千里、そのかたち
人面龍身にして赤色なり」と。鍾山は北海の地なり。
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解説 |
燭陰というのは完全に中国の神のようで、「山海経」
(高馬三良訳 平凡社)の「海外北経」によると、「鍾山の神の名は
燭陰。目を開けば昼となり、目を閉じれば夜となる。吹けば冬となり、
呼べば夏となる。飲まず食わず息せず、息すれば風となる。
身の長さ千里、無けいの東にあり、この物たるや人面蛇身で色赤く、
鍾山のふもとに住む」そうです。
「大荒北経」では、章尾山(鍾山に読みが似ている)には燭龍という神が
いて、人面蛇身で全身が赤く、目は顔の中央に縦に並び、目を閉じると
世界が暗くなり、開ければ明るくなるといいいます。また、ものを食べず、
眠らず、息もしません。風や雨を招き、九陰も照らすといわれています。
これらの記述を見る限りでは燭陰、燭龍は同じ神のことだと考えてもよい
と思われます。深い陰も照らすことができるので、燭陰という名前が
ついたのでしょうか。
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