今昔百鬼拾遺 雲之巻
(国立国会図書館所蔵)
石燕曰く
しづが家のいぶせき蚊遣の煙むすぼぼれて、あやしきかたちをなせり。 まことに羅の風にやぶれやすきがごとくなるすがたなれば、烟々羅とは 名づけたらん。
解説
煙の妖怪(あるいは精霊)です。竈や風呂場から立ち登った煙の中に、 ふと人のような顔の形や生き物のような姿が浮かび上がることがあります。 また、気流の関係で空中に止まって漂っているときがあります。 そんな姿が妖怪を感じさせたのでしょうか。
煙羅煙羅(えんらえんら)と呼ばれたりもします。