51番目のアメリカ
寺本祐司

『横須賀揺れるエボニー&イエロー
 エキゾティックなノイズ
 フェンス飛び越えてファッションラブ
 Wild Turkey Blues 』

ホテルの一室、ルームナンバー#1038
地下13階のブラインド越しに街は星降る夜空の下。
ルームサービスのワインが運ばれる。
よく冷えたボジョレーのロゼ。
ワイングラスに忘れかけた女の面影が浮かぶ。
少しニガイワインを飲み干す。

2杯目のワインでやっとアロマティックなフレイバーを確かめる事ができた。
テーブルの上にはパールのピアスとネックレス、口紅のついたタバコが灰皿の中でくすぶっている。

『俺も君もすっかり変った。
 酒で紛らす俺も俺だけど、
 チープな愛を売る君も君さ』

シャワールームの音。
コックを止める音。
バスタオルを巻いた女が生意気に笑っていた。

『ブラックルシアン飲み干す彼女は
 Wild Sixteen Bluese
 紅いパンプスが転げ落ちる夜』

コンクリートジャングル、ベースキャンプディスコ、オーシャンブールヴァード、
ミステリーズアイズ、ハーバーライト、水のないプール、シルクのブラウスネイビーラヴァー、
無いものねだりのラヴコール、小さなプリテンダー、
ポニーテール、ホワイトノイズ、パパイアミュージック、流行りのラヴモーション、
偽りの愛、戯れの恋、甘い誘惑、危険な関係、紅いルージュ、インスタントラヴ、
エンゼルフィッシュ、ホワイトシーツの乱れ、他人の二人、よくあるコメディー………?

『ずっと二人を遮る河があった
 いま、それを越えて君を抱きしめた。
 凍てついたこのからだを
 温めて欲しいのさ
 口移しのシェリー酒で
 火を点けてミステリー』

モダンドールズショーが始まり、
待ちわびたファンが絶叫する。
松川がワイルドにジャンプし、
攻撃的なギターを小峰がエキセントリックなフレーズを華麗に撒き散らす。

ニューエージシンドローム、ブルーレイニーブルース、
消えたシューティングスター、サイレントブギ……。
シックでファンキーなベースラインと限り無くモダンなビートを刻む田浦、下鳥のリズムセクション。

ヌーベルヴァーグにつまずいて、
SOS、カルチャークライシス、Flight505……。

仕上げは佐谷のさんざめく詩の世界で…
MODERN DOLLZ COMES FROM THE 51st STATE OF U.S.A.
I`m SURE,
THEY PRESENT YOU AN ECCENTRICC AND EXOTIC NIGHT.